IUW―TANGE 2021 「丹下から建築を学ぶものへの出題」

今治市庁舎広場 ( 周囲の丹下建築を含む ) ~大学・まち・専門家の協働による「まちのコア」提案~8 大学からの提案

915日川向正人氏をモデレーターにZOOMにて宇都宮大学、東京理科大学理工学部、明治大学、千葉大学、国士舘大学、工学院大学、東京大学、東京理科大学工学部の8大学の学生さんと、J I A四国支部、愛媛県建築士会今治支所のメンバーで研究発表が行われた。

各大学は、今治市の現状を良く分析し、建設当初丹下の抱いた民主主義を具現化したと言われるその広場の将来像をさらにまちづくりに繋げていこうと、今治のまちの構成、産業、文化、そして市民の期待を3つの建築群のそれぞれの役割を見直すことで、広場と建築を繋ぐ媒体としての仕掛けを提案している。

提案には、宇都宮大学が3つの建築に囲まれた中央広場に現れる非日常的シーンを仮設的工作物で場を創出していく案と、今治芸術都市と題し周辺のまちも取り込みながら在来の建築の機能を損なわず丹下建築自体を今治美術館にコンバージョン、広場の前面にはピースセンターのオマージュ的建築を市民会館と公会堂をつなぐ形で提案、東京理科大学理工学部が、市庁舎を中心とする建築群と広場に至る旧市街地、新市街地、港との新たな軸線をダイアゴナルに結び、さらにはその軸線は3つの建築に挿入され、それぞれの建築に新たな空間を創出する提案、明治大学は、現代社会の抱える市民の特定した居場所の必要性が薄れる状況下で建築群とその広場、周辺の街区、人の行動までもデジタル化、分析することで、現代的都市機能を庁舎、広場に、そこに新たなコアを創出しようという提案、千葉工業大学の提案は、循環型社会のまちの役割の主役を今治の特産であるタオル産業に着目、庁舎や広場を中心にアーケード街、港を結びそのみちを“ゆらぎの道”と題して、いわゆる市民や観光客がタオル等アイテムを通して循環型社会の体現ができるアメニティー空間として提案。国士舘大学は、アーバンカーペットと題し3つの建築のうち市庁舎と公会堂は残し市民会館を撤去することで、サンクンガーデンのある広場から緩やかに登りながら庁舎の南側まで取り巻くように新たな行政区の形と市民コミュニティーの場を提案、工学院大学は、まちの核として港から庁舎を結ぶ軸線にある広小路に着目、歩車道を再編成し車道は両側に中央に緑豊かなアートの道を提案、庁舎前の道路は地下に持っていくことで広小路と庁舎広場を直接結ぶ提案である。アートによるまちのコアを提案している。東京大学は“円環を彩る持続可能な市民広場”をコンセプトに在来の3つの建築をきちんとリスペクトしながらそれぞれの建築の機能を見直し、庁舎には新たな吹き抜け空間を丹下建築のダイナミズムを体現できる空間に、市民会館、公会堂のホワイエには日常の中でのサードプレイスを提案、広とその周辺にも非日常的に現れる仮説的空間を提案している。東京理科大学工学部では、“今治の新しい都市のコア”と題し3つの建築を取り巻く広場に一人一人が集い、多様なアクティビティーが展開できる樹木のような建築の森を提案、それは建築と広場を曖昧な連続体として捉え、自然回帰型のパラソルの元では行政区としての機能からさらに様々な世代や市民の居場所を提供、在来の3つの重要な建築をそれぞれ残しつつ最小限の改修にとどめながらも閉鎖的空間に風穴を開ける手法である。また、駐車場は地下駐車場とすることで、広場の新たな空間を提案している。

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